ハンテン日記

だからこそ!!!

映画ペンギンハイウェイ視聴録(追記) 世界の果てに見るものは

友人とペンギンハイウェイを見に行きました。

森見登美彦の作品は四畳半神話大系しか読んだこともなく今回のペンギンハイウェイも原作は未読という状態でしたが、話題作だしアニメだしオネショタみたいな話も聞いてたし、見てみたいなぁという気持ちもあったので、友人に押されるがままに視聴してきました。

結果としては、とても面白かったです。ずっとスクリーンに釘付けでした。原作未読、というのも良かったかもしれませんね。先入観なく、作品の世界の中に没頭していくことができたと思います。

 

今回は以下でそのレビューを書いていきます。

あんまり上手くまとまってません。

 

 

▼▼▼ 以下、与太話 ▼▼▼

 

前半

四畳半がどうだったかは忘れましたが、確か四畳半もキャラクターのフルネームは公開されていなかったと思います。

今回も同じく。主人公のアオヤマ君をはじめ、お姉さんの氏名が明かされることはありません。

フォーカスされるのは、

  • ペンギンは何物か?
  • 海とは何か?
  • お姉さんは何者なのか?
  • ペンギンハイウェイとは?

とか。

 

しかしいずれに対しても明確な解は与えられません。アオヤマ君は直感めいたものを獲得していますが、さしたる根拠はない様子です。根拠があれば、それはお姉さんにもハマモトさんのお父さんにも話しているでしょう。

これらはアオヤマ君にとっては非常に大きな命題となりますが、作品の上では登場人物たちの関わりを浮き彫りにする働きが強いです。

 

同級生同士の友情であったり、よくある喧嘩であったり、恋する気持ちであったり、未知の物に対する興味であったり、謎めいたお姉さんへの憧れであったり。

 

それらを通じて登場人物たちは氏名など関係なく動き回る。与えられた属性は「きっと誰もが感じている、あるいは感じていた、知っているもの」という普遍的なもののように思えます。

誰が決めた訳でもないテンプレート。だからこそ彼らの心情はよく理解できるような感覚が残り、後半にかけての感情移入がよく進むのかな、と。

 

後半

ちりばめられたキーワードが、アオヤマ君の父の導きで一つに繋がります。アオヤマ君曰く、「エウレカ」(ここめっちゃかっこいい…と思いました)。

理解できるものが多かったことと真逆にナンダコレが多くなり、一気に引き込まれる。

お姉さん、謎めきすぎですもん…

 

後半のキーワードは何なんですかね。

アオヤマ君のお父さんの示した、袋の中に世界を入れてしまうことはできるか? という問が鍵なのかなと。

「海」の中の光景はとても印象的でした。僕の中にある「世界の果て」像がそのまま現れたような。ラピュタとか千と千尋とかのジブリ作品の影響だと思うんですけど、建造物に植物がはい回ってたり、海の中にぽつんと街がある様子とか、空に家が浮かんでいたりとか、そういうのが何故か胸に刺さる。

 

こういうものを忘れていたような?

不思議なこと、未知に対して、最近ネガティブだな?

こんな世界があるかもしれない? とか、自分でもようわからん感情がガーッとくる。

 

でもそんな空想は現実世界に現れてはいけない。

だから「海」は消さなくてはいけない。

 

「海」とはなんだったのか、というと、滅びと安らぎのイメージが混ざったものかなと。小さいうちは害はないが、大きくなれば害をもたらす。

「お姉さん」のペンギン召喚の条件は天候が晴れであることでしたが、本当は、「お姉さん」の心が晴れやかであることではないかなと。

「お姉さん」決して世界の修正者ではなく、滅ぼす側にも立ててしまう。「お姉さん」が袋を裏返してしまえば、そのとき世界は滅んでしまう。そんな風に観てました。

 

ペンギンは世界の調和の象徴であって、ジャバウォックはその反転衝動。自分の存在理由に対する不安感、私とは何者であるかを問い続けたことで生じる恐れかなと。

アオヤマ君に、私の謎を解き明かしてくれと言ったのは、ただただ私が何者であるかを教えてくれという言葉のように思えました。

無垢なる少年に、その答えを委ねたいと願ったが故の行動なのかなと。そこに大人の持つ複雑に絡んだ論理は不要で、澄んだ想いだけが欲しい。同情ではなく、未知を切り開いて尚、自分のことを正しく観測してくれるのか。

 

アオヤマ君はお姉さんの望みに応え、自分なりの解を得た。細かい背景は掴みきれない。それでもお姉さんのことを考えることを諦めなかった。それが最後のペンギンたちによる、というかお姉さんによる「海」=「袋の反転」の消去、キャンセルに繋がったのかなぁ。

 

空の向こう、約束の場所っていう作品をご存知ですか?

結末は異なりますが、あれに近いものを感じました。アオヤマ君はお姉さんを失いますが、お姉さんが消えた理由は、自分の存在理由を再定義できたからかなと。世界の調和の担い手としての自分を認められたから、かな。

きっと、アオヤマ君なら、もう一度自分に会いに来てくれると信じて。

 

 

最後のお姉さんとの別れは、僕も感極まっちゃいましたねぇ…

お姉さんがいなくなってしまうこともそうなんですが、それを正面から受け止めるアオヤマ君が健気で、そしてペンギンハイウェイプロジェクトを立ち上げる姿が眩しい。

何より、アオヤマ君の成長をずっと見守り続けたいけど、そうはいかない事情がある、という所も。

 

 

原作を読んでもうちょっとまとめていきたいところですね!!

 

連休を締め括る良い映画でした。

 

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追記

 

とかなんとか書きましたが、そういう所はどうでもいいというか。

お姉さんが何者かとかペンギンとか、そういうのは本当にタダのアクセントであって、勿論アオヤマ君にとってはどれも大切な一大事ではあるのだけど、一つ一つを掘り下げるのはなんか違う。

こうじゃないかな、と考えるのは楽しいですけど。こうじゃん、と名付けたくない感覚が残る。

 

ジブリ作品って凄く面白いと思うんですけど、あれってどんな人が観ても楽しいですよね、多分。

小さい子から大人まで楽しめちゃう、ペンギンハイウェイは、そんな作品だと思うのです。

実際僕の初見の印象は、「ジブリみたい……」だったので……

 

 

本当に複数の視点から作品を眺めることができて、ていうか複数の視点からボッコボコに感情を殴打されるような、面白ポイントがたっっっっっっっっっっくさんある!!!

 

小学生たちが織りなす学生生活だったり、友達だけで共有する秘密だったり。

あるいはそれを見守る大人たちであったり、子供たちに何かを期待してみたり。

恋愛もあれば、お姉さんもいるし、おっぱいのこともめっちゃ気になってしまうし。

 

全然書ききれなくて、僕もどんどんよくわからなくなってしまって尚のことまとまりが無くなってしまうのだけど、でも、

 

お姉さんとの別れが、本当に頭に残るのは、何故なのかな、とは思う。

というか非常に頭に残って困ってる。

 

僕にもお姉さんにような人がいたのかもしれないし、

あるいはその逆の立場に立つことがあったから?

 

多分、観る人によって本当に心に残る点は違うのかもしれないですね。

観る人によって、あるいは観る人の心の持ちようによって、今引っかかっているものがすっと浮かんでくるのかも? そりゃ人は自分の見たいものしか見ないでしょーとか言ったらお終いなんですが。

でもそんな作品は、本当の傑作だと思うのです。

通り一遍、同じ感想が出るのではなくて、観る人の数だけ見方がある。

勿論同じ結論が出まくる作品も面白いのですけど。

 

そんな感じでペンギンハイウェイ視聴録でした。

まとまりがないけど、今の自分ではこれが精一杯でしょうか。

面白かったよ!!!!!!!!!!!!!

ってことだけ伝われば幸いです。いやあ見に行って良かった!!

 

もうちょっと、レビューは上手くならないといけないですが、それは追々磨いていくということで……

今度こそ以上です。

 

 

はじめ